遺言書準備状況の実態
遺言書は、遺言者が生前に築き上げた財産及び身分に関する法律関係を定めるための手続ですが、ある調査によると、調査時点で作成していない方が96%、作る予定のない方が44%という報告があります。

遺言書作成件数はどのくらい?
別の調査によると、公正証書遺言の作成件数は、直近10年間は毎年約11万件で推移しています。表①の2%が11万件ということではありませんが、公正証書として遺言を残される方が少ないことは、概ね述べることができるのではないでしょうか。

表③は、家庭裁判所における遺言書の検認件数の推移を示しています。
検認は、自筆証書遺言(保管制度利用を除きます)又は秘密証書遺言において必要とされる手続です。年々件数が上昇しており、2023年は約2万2000件となっています。
しかし、公正証書遺言作成件数と比較すると、『正式な手続が行われている自筆証書遺言(又は秘密証書遺言)が少ない』ということは述べられると考えます。

遺言書を作成しない理由とは?
遺言書を作成していない理由(複数回答可)をまとめたものが表④です。理由としてあげられた上位10項目の割合を示しています。

遺言書を作成する予定がない方のご意見をまとめると表⑤となります。
2020年度司法統計によると、遺産の価額が1,000万円以下※₁で家庭裁判所が調停した件数は2,017件(35%)であり、ご本人様が『遺言書を残すほどの財産ではない』と考え
ても、相続人様にとっては家庭裁判所の調停が必要な遺産と考えられることがあります。
後々の相続争いを未然に防ぐために、遺言書を作成することをお勧め致します。
※₁統計調査の最小価額区分が1千万以下とされています。

遺言書に関する書籍は非常に多く、どれを選んで良いかわからないほどです。
インターネット上の情報も然りです。
また、ひとつとして同じ遺言書はないことから、遺言者様が、ご自身が築き上げてきたものをどのように残していくのか、ご自身でお考えいただくことが何よりも重要です。
予備知識として書籍やインターネット情報は役に立つでしょう。それらを基に、セミナーに参加なさったり、私共士業にご相談ください。
ご相談者様の希望に即した遺言書を提案させていただきます。